産業革命以降、資本主義社会が世界を覆い、現在その中心にある市場原理主義アメリカ。
「市場原理主義」とは全てを市場に委ね、まったく政府が干渉も介入をしない思想的立場をさす。
なぜ、政府が介入をしなかと言うと需要と供給とのバランスで市場が存在している中で
変に政府が介入をすると、かえって社会的な混乱を引き起こしてしまうからである。
これを「厚生の損失」と言う。
はじめに私は提言したい「アメリカの市場原理主義は刹那的すぎる!」と
別にアメリカを憎んでいる訳ではない。ただ少しばかり苦手なのだ。
現在のようなとても大きな資本主義の流れの中で私自身何もできない事に対し憤りを感じてしまっている。
それはなぜか?
レバレッジを利かしたデリバティブによってキャッシュは金利と言う名のもとに増えて行き
その増えて行ったキャッシュはオフショア地域に格納され、そこで永続的かつ安全に保たれるのである。
このシステムはブルジョア達は知っているが、プロレタリアート達は知らない。
ここに格差の根源的な答えが隠れているのである。
そして今年の7月まで恐ろしいまでにそのトレンドは続いていた。
みなさんはご存知であろうか?
実体経済の資産価値と金融経済の資産価値との乖離額を…
(※簿記の有形・無形固定資産の考え方とは違います)
それは1997年ころから乖離して行き現在2007年の8月の段階で800兆円の差があるのだと言う。
800兆円とは経済先進国世界第2の我が国の2006年度の年間GDPが500兆円であり
それと弟4位の中国の300兆円がこの世にもう一個づつあると言っているのと同じ事なのである。
このまま現在の流れが続いてしまったら、金融経済の資産の合計金額が実際に存在する実像の全資産の2倍以上、若しくはそれ以上になってしまうのでは?
もし仮にそうなってしまった場合、お金の価値が薄れていく普通のインフレじゃんかと思われるかも知れないが
ここで問題なのはインフレになっているのはブルジョア達だけでプロレタリアート達は今までと殆ど変わっていないと言う事なのである。 >>提言@
しかしそのシステムが今ようやくここに来て行き詰まりかけて来ている。
それは今年の7月後半にアメリカの住宅ローン問題、
いわゆるサブプライム問題がアメリカで発生したことだ。
「サブプライム」とはサブプライムローンと言う低所得者向けのローンがあり
住宅を購入する際に、めちゃくちゃ甘い審査で低所得者に対して住宅ローンを組むことが出来るローンシステムのことである。
「なぜこのような事が出来るのか?」
このからくりをご存じでない方は「なんと無謀なローン会社だ」と思われるであろう。
しかしこのからくりは非常に簡単でアメリカの住宅は今年の前半まで右肩上がりで物件の価格が高騰していた。
それはまさにアメリカ経済の一つの指標でもある「NYダウ」が力強い伸びで成長している事と同義であった。
こう言った状況下で、これはローン会社の契約にもよるが、例えば3年間は返済額の負担を軽減し
4年目以降は通常の返済額に戻ると言う返済システムで、もちろん低所得者向けのローンなので
4年目以降にはローン返済に行き詰まりかけが生じて来る。
しかしそう言った場合でもその物件を売ればローンは返済できると言う
「将来もこのままビバ!」を想定した恐ろしいローンシステムなのである。
それではなぜローン会社の問題がここまで世界経済を震撼させているのかと言うと、
それは金融商品の証券化の問題へと移る。
アメリカや欧州といった金融工学が進んでいる国々は
ありとあらゆる物を金融商品として証券化してしまうのである。
これはまさにブックメーカーのそれと一緒である。
つまり「サブプライムローン」のような刹那的でかつ破綻が見え見えなシステムでさせも
商品化してしまったという事なのである。
しかし、それだけ分かって居るのならばそう言った商品だけの価値が下がるだけで
ここまで被害が拡大されるにはもっと何か大きな問題があるのでは?
そう、ここからはもっと大きな問題が待ち構えているのである。
現在の金融市場は「レバレッジ」と言うシステムがあり、小さい投資金額で
大きな金額の投資が出来るというシステムが存在する。(FXやワラントがそれである)
この事によって作られた商品は元の大きさよりも数十倍、もしくは数百倍へと大きくなる。
また商品とは一つの物で商品になっているのではなく複数の商品で形成されている場合が多くある。
それは商品自体をリスクヘッジする目的で一つの商品を細分化しその細分化した商品を集合させ
商品を作って行くのである。
もうこうなってしまうと、この商品が元々何の商品だったかなど分からなくなってしまう。
ちなみに証券会社はそう言った商品の中身を全てクライアントに説明する義務は基本的には無い。
このことにより、証券会社がこの商品にサブプライムの商品が入っていたとしても報告をするはずが無いのである。
(大手証券会社は信頼のため出来る限り説明しています)
実はこのようなサブプライムローンのような商品はこの世にはまだまだ表面化されていないだけで沢山存在するのである。
あともう一つこの問題が住宅問題だったと言う事がまたまた大きい。
それは住宅を購入すると言うことは、生涯でもっとも金額高い買い物である訳で
そういった実体経済の利害関係がとても大きいと言うことも付け加えたい。
しかしこのサブプライム問題がこのタイミング起きずとも違うタイミングで違う商品がこう言った
衝撃を起こす事は100年も前にレーニンが言っていた事であり、これが現在世界を覆っている資本主義の構造の脆さである。
だがこう言った激震が起こったとしてもまたどこかで今の資本主義の流れを継続する動きが起きまた成長し、そう言った事の繰り返しで今まで来ているのである。
私はこういった事を考えるとほんとうに深く悲しくなる。
なぜなら、こう言ったブルジョア達が建設したブルジョア有利のシステムで、
そのシステムが崩壊した場合に、
多くの命を落とす者たちは何も知らずに何もしていないプロレタリアートであるからである。
ほんとうに「なぜだ!?」と激しく言いたくなる!!
ちなみに私は資本主義をけなし、共産主義を訴えたい訳ではなく(もっとも私はマルクス主義のいわゆる科学的社会主義者ではない。)
結局どちらも向かって行く方向は一緒であると言いたいのある。
何時からこう言った時代になってしまったのか!
1945年のあの日からか?
または産業革命からか?
いや何時からこうなったのではなく、おそらく何時の時代もこうであったのであろう。
結局、我々は渾沌とした不安と言うモノの中で価値を見つけ個々がその中で生きて行くしかないのだ。
嗚呼。いつの時代もただただ悲しい…
しかしただ悲しんで居るだけでは決して良くはない。
そんなとき私はドイツの詩人であるシラーの言葉で
「太陽が輝く限り希望もまた輝く」をこころの中で叫ぶっ!
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